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ノイズとは何か? Part.1

天体写真の出来映えを大きく左右するノイズ.まずノイズを正しく理解し,どうすればよりノイズの少ない天体写真が作成出来るのか考えてみよう.

キーワード

  • ノイズ
  • 偶然誤差
  • 系統誤差
  • 天体写真のノイズモデル
  • ポアソン分布

ポイント

  • ノイズ=偶然誤差
  • ノイズは再現性がない

ノイズの正体を知るには,まずは「誤差」について知る必要があります.大辞林には誤差とは「測定値・理論的推定値また近似計算によって得られた値と、真の値との差」とあります.難しく書いてありますが,簡単に言うと本当の天体のシグナルと得られたシグナルとの差のことです.誤差はさらに「系統誤差」と「偶然誤差」に大別され,この偶然誤差がよく耳にする「ノイズ」のことなのです.
誤差

系統誤差とは「何回測定しても,毎回生じる同じ量のズレ」です.例えば測定機器の目盛りが間違っていて,毎回同じ量だけずれる誤差がこれに当たります.

偶然誤差とは「何回観測しても再現性のないズレ」です.例えば測定機器が不安定で毎回異なる値が表示される場合がこれに当たります.

簡単な例として物差しで長さを測る場合を考えましょう.
この場合,物差しの目盛りがわずかにずれている・物差しがすり減って少し短くなっていること等から生じる測定値のズレは系統誤差です.これらの誤差には再現性があります.
一方,物差しの当て方がその回のみわずかに斜めになってしまった・目盛りの十分の一まで読もうとしたこと等から生じる誤差は偶然誤差です.測るたびに物差しの当て方は微妙に変わってしまいますから,これらの誤差には再現性がありません.

写真の場合で考えてみましょう.
デジタルカメラを三脚に固定し,同じ対象を何枚も撮影したとしましょう.撮影したそれぞれのコマの同じピクセルのカウント同士を比較してみると,コマ毎にほんの僅かだけバラツキがあるはずです.このバラツキには再現性はなく,これは偶然誤差,すなわちノイズです.
一方,カメラのCCDやCMOSにはバッドピクセルと呼ばれるものが存在し,いつも真っ黒,真っ白や常に同じカウント値になっている場合があります.この場合,そのピクセルのカウントはゼロ(真っ黒)もしくは最大値(真っ白)になり,再現性があるため,これは系統誤差に分類されます.

さて,これらノイズは実際の天体撮影にどう影響するでしょうか?
ここでは簡単のため系統誤差はないものとして考えます.

天体(星や星雲)の真の明るさが下のような輝度分布だったとします:


これに加えて,撮影時には偶然誤差(ノイズ)が発生します.このノイズが真の輝度分布に加わるため,カメラに記録される天体の明るさは以下のようなものになります.

注意しなくてはいけないのは,ノイズには再現性がないので,次のコマではノイズのパターンは異なるため,上図とは異なった画像が得られるということです.

数学的にはこのノイズに相当するカウント値はポアソン分布という確率モデルに従います.


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