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ピリオディックモーションはどうして発生する?

ピリオディックモーションの発生する仕組みについて理解しましょう

キーワード

  • ピリオディックモーション(ピリオディックエラー)
  • ウォーム・ウォームホイル

今回のポイント

  • ウォームの偏心はピリオディックモーションを引き起こす

ピリオディックモーションとは?

赤道儀の追尾性能を表す1つの指標として「ピリオディックモーション」(ピディオディックエラー)があります.ピリオディックモーションは直訳すると「周期的動き」という意味で,赤道儀の追尾速度が周期的に速くなったり遅くなったりする動きのことです.この動きのために赤道儀の追尾速度が星の動く速度よりも大きくなったり小さくなったりするため,赤道儀の追尾にズレが発生し星が伸びて写ってしまいます.

図1:ピリオディックモーションの例

上の図は赤道儀のピリオディックモーションを測定した例で,横軸が時間,縦軸が追尾ズレを表しています.グラフの縦軸方向のふらつきがピリオディックモーションです.仮にピリオディックモーションが全くない理想的な赤道儀だったならば,横一直線のグラフになります.

発生原理

ピリオディックモーションはどうして発生するのでしょう?その主な原因を説明します.

赤道儀はモーターの回転をウォームドライブと呼ばれる機構で減速し,赤経・赤緯軸を回しています.

図2:ウォームドライブ

図2はウォームドライブの仕組みです.上側の円筒形のウォームが回転し,それと噛み合った下側のウォームホイルが回ります.赤道儀ではウォームがモーターに繋がっており,ウォームホイルが赤経軸に繋がっています.

ここでウォームの中心軸と回転軸がズレて偏心している場合,下図のように回転します.

図3:偏心したウォーム

このようにウォームが偏心していると,ウォームとウォームホイルの接点が刻々と変化し,ウォームホイルの中心から接点までの距離が刻々と変わります.そのため,ウォームの回転がウォームホイルに伝わる際の減速比が変化してしまい,追尾速度が速くなったり遅くなったりしてしまうのです.これがピリオディックモーションの最も大きな発生原因です.この動きはウォームが一回転する時間を周期に繰り返し起こるため,ウォームホイルの歯数が分かればピリオディックモーションの周期を計算することが出来ます.ピリオディックモーションの周期をT分,ウォームホイルの歯数をN歯とすると,次の式で書けます:

(1)   \begin{equation*} T = \frac{24 \times 60}{N}[\text{min}] \end{equation*}

ウォームの偏心以外にもウォームホイルの偏心やモーター内部の減速ギヤの偏心,ギヤの表面の細かな凹凸もピリオディックモーションを発生させますが,多くの場合ピリオディックモーションの最大の要因はウォームの偏心です.

ピリオディックモーションを減らす方法

ウォームやウォームホイルの偏心が原因の場合,それらの部品を交換する以外ピリオディックモーションを減らす方法はありません.しかし,モーター内部の減速ギヤの偏心が原因の場合は,モーターを別のものに取り替えてみると改善することがあります.赤経と赤緯のモーターを入れ替えてみると改善するかもしれません.また,ギヤの細かな凸凹が原因の場合,赤道儀を使っているうちにギヤの凸凹が擦れてならされピリオディックモーションが減ることがあります.これを「エイジング」と呼びます.